S君へ
私が中学生の時でした。
ストーブッ当番で朝早く学校へ行くと、教室からオルガンの音が流れてきました。そのすてきな音色、何という曲か知らなかった私が教室に入ると、オルガンを弾いてたのはS君でした。私は「おはよう」
と言い、「上手だね。なんて言う曲?」と聞きました。S君は、「プロコル・ハルムの『青い影』」とだけ言うと、また弾き始めました。そのS君が転校していったのは、それからまもなくしてでした。ふだんほとんど話したことがなかったS君の意外な才能と共に、なぜかいつまでもその時のことを覚えています。S君のために「青い影」をリクエストします。
東京都江東区 ラジオネーム「グレープフルーツ」
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