元クラスメイトのしゅんいち君へ
母の勧めでこの秋から絵手紙を始めました。机に向かい、絵筆を握るたびに、子供の頃のある懐かしい思い出が甦ってくるんです。小学校一年生の時、図画の授業で必要な絵の具道具一式を家に忘れてきてしまった私は、先生に言い出すことも出来ずに、泣きたい気持ちでじっとうつむいていました。すると隣りの席のしゅんいち君という男の子が、「どうしたの?」と声をかけてくれたので理由を話すと、彼はにこにこしながら机と机を寄せ合いっこして筆やパレット、絵の具などを真ん中に置き、私もその道具を一緒に使えるようにしてくれたんです。おかげで何とか「かもとりごんべえ」の絵に色をちゃんと塗る事が出来、すごく嬉しかったのですが、当時かなり内気だった私は、ただ蚊の鳴くような小さな声で「ありがとう」とだけつぶやくのが、精一杯でした。それ以降、同じクラスになることはなく、卒業以来もう十数年会っていませんが、あの時彼が見せた優しい笑顔は今でもずっと心に残っています。
鹿児島県姶良郡姶良町 ラジオネーム「ピッコリー菜」さん
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