父へ
結婚が決まるまで、私と父は会話らしい会話を交わしたことがありませんでした。そのため彼を紹介しても、父はほとんどしゃべらず、母が丸く収めてくれて、なんとか結納までこぎつけました。でも、父も少しずつ彼の優しさをわかってくれたのか、ある時、両親と彼と私とで外食に行き、そのままカラオケに行ったのです。お酒を飲んでいたせいもあって父は上機嫌。皆は父の歌う十八番の演歌など聞いて盛り上がりました。実は、私には、いつか父に聞いて欲しい曲がありました。そこで、「お父さん、この曲を聞いて!お父さんに贈りたいから…」と言って、私はプリプリの「パパ」をセットして歌い出したのです。すると、父は、口が悪く、「音痴だ…お前…」と言いながら、眼鏡を外し目頭を押さえたのです…父にハンカチを渡す母…私も思わず歌いながら涙が溢れ、彼が一緒に歌ってくれました。もちろん結婚式も、涙もろい父は涙、涙でボロボロでした。あれから9年、今は3人の孫を連れて行くと、大喜びで待っていてくれる父。お父さんの子供に生まれて良かった…。ありがとう。
山口県光市中村 ラジオネーム「ひろまま」さん
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