亡き父親へ
小学5年生の頃、私は父親のサイフから一万円札を抜きました。そして、これが父親にバレて、父親が烈火のごとく怒りました。「テメェ!100円、200円盗むならまだしも、一万円なんてデカい金を盗みやがってぇ!今すぐ外へ出ろ!朝まで外に
立ってろ!その代わり、その一万円はくれてやらぁ!」私は父親の性格を知っていたので、絶対に朝になるまで家に入れてくれないと思いました。だからといって、親戚や友人の家などに行って泊めてもらったりしたら、もっと怒られると思ったので、私は家の外で朝まで過ごすことを決意。季節はちょうど冬に入りかけた頃。寒くて寒くて、眠くて眠くて、でも、私は頑張りました。そして、ようやく朝を迎えた頃、父親が玄関から出てきて、「おい、寒いのによく頑張ったな!」そう言いながら、私の身体を抱き上げてくれました。そして、「もうあんなことするなよ」と言いました。私は、父に抱かれながら、思い切り泣きました。その父親が亡くなって、もうすぐ一〇年が経ちます。そんな父親に、当時大ヒットしていた「おやじの海」を贈ります。
栃木市 ラジオネーム「シャイライツ」さん |