京都駅で私を助けてくれた紳士へ
暑かった今年の夏8月31日、時刻は午後4時過ぎ。私はJR京都駅の乗車券売り場におりました。
でも、スラックスの後ろのポケットに入れておいたはずのサイフがないのです。
「あっ、トイレだ!個室トイレに入った時だ」
思い出した私は、さっき入ったトイレへと駆け出しました。
しかし、トイレの中には、もうサイフはありませんでした。
私はとりあえず交番で紛失届けを出したものの、京都駅で
どうするわけにも行かず、携帯電話を取り出して自宅へ連絡。
でも、こういう時に限って、電話に応答しない。
「こりゃあ、まいったぞ・・・」と、私がすっかり途方にくれていた時のことです。
「どうしましたか?」と声をかけてきた紳士が・・・。
その人は、さっき乗車券売り場で私の後ろに並んでいた人でした。あの時の私の状況を見て、その人はおおよその見当がついた様子で、「これ使って下さい」と2万円を私に差し出しました。
話によると、その人も前に同じような体験をし、見知らぬ人から、
同じように助けてもらったとか。
そして、「あなたもいつか同じような人に出会ったら、そのお金を
用立てて下さい」と言って、名前も連絡先も告げずに去って行きました。
私は、途方にくれている時だったので、ただただ驚きと嬉しさの中で「ありがとう」とお礼をいいながら、その人を呆然と見送るだけでした。
あの時の名も知らぬ紳士に、財津和夫さんの「切手のないおくり
もの」を贈りたいと思います。どこかで、この放送を聴いていて
くれることを祈ります。
栃木市 ラジオネーム「スケッチ・オブ・ハート」さん |