鈴木美明へ
十一月の中頃のことです。私が帰宅すると、都会で暮らしている息子が家にいました。妻に聞くと、仕事を辞めたとかで、別のところに履歴書を出したけれど、良い返事がもらえないらしく、妻が「それなら一度田舎に戻ってリフレッシュしたら(?)」とアドバイスしたらしいのです。息子は、まだ25歳の独身。漫画家を目指すというので、専門学校にもやりました。でも、夢を追うのもいいけれど、現実は厳しいんです。今回の帰省で、私は酔った勢いで息子に一言訓辞をたれました。「まだまだ若いんだから、挫けずトライしろ」って。「世間に負けるな。都会に負けるな」って。私も都会で8年間暮らし、わけあって帰って来ました。一人息子だから家を継いでもらいたいが、今はそんな時代じゃないからね。息子は私のアドバイスを聞いた翌日、また都会へと旅立ちました。
山形県南陽市の鈴木明さん |