3年前に亡くなった母へ
私が高校生の頃、父が仕事で海外に行くことになりました。当時はまだ羽田空港から飛ぶ時代で、父にとっては初めての海外でした。一家で空港まで見送りに行った時は、母は泣いていました。そんな時代でした。その時、父がお土産として、私や弟には時計を、母には香水を買って来ました。「時計も香水もよくわからんから勧められたものを買って来た」と言っていました。その時、母に買って来た香水が、ゲランの「夜間飛行」でした。香りをかいでみると、大人の香りがしました。それを母は大事に大事にして、滅多なことは使わないようにしていました。何年かしてみると、ほとんど使わないのに気化して少し減っているような感じだったので、「私、つけていい?」と聞いて、それから何かの折に借りてつけていました。でも、ずっと大人になって考えてみた時、父からのプレゼントをもったいなくて使えなかった母を思うと、何かとってもすまないことをしたと思い、胸が痛みました。
横浜市港北区にお住まいのラジオネーム「ゆきんこ」さん |