昔通った喫茶店のマスターと奥さんへ
学生時代、何度か行くうちにいきつけになった喫茶店がありました。それほど広い店ではなく、中年のマスターが一人でやっている店でした。その店では、マスターの趣味なのか、いつもかパット・ブーンのレコードがかかっていました。「砂に書いたラブレター」や「四月の恋」など、もう嫌というほど聴かされました。ある時、店に若いバイト風の女の子が入りました。マスターが気安く「ヨウコ!」などと呼んでいたので、どうやらマスターの娘さんのようでした。しかも、とても清楚な可愛い子だったので、僕は内心舞い上がってしまいました。それで、マスターに、「娘さんですか?」と聞くと、なんとマスターの口から出た答えが、「若いけど、女房です」。僕は、もう世の中の中年オヤジが信じられなくなりました。でも、いま僕は当時の中年オヤジのマスターの年齢をはるかに越えてしまいました。あの頃、マスターはいくつだったのかなぁ。相当歳に見えたけど、意外に40歳前だったのかもしれません。
北海道北広島市のラジオネーム「北海の満月」さん |