お習字の先生へ
小学校の頃、私は月曜日が嫌いでした。別に学校へ行くのが嫌だったのではないのですが、毎週月曜日はお習字の塾があったからです。というのは、お習字の塾の先生が、とても礼儀や行儀に厳しい明治生まれの先生で、塾に行くと、まず必ず先生の前に行って、「先生、こんにちは。今日もよろしくお願いします」そして、帰る時は、「先生、さようなら。どうもありがとうございました」と、大きな声で挨拶をしなければいけないのです。ところが、私はとても内気な子供だったので、挨拶がいつもごにょごにょになってしまうため、「それじゃ聞こえない」とか、「気持ちが入っていない」とか言われて、何度もやり直しをさせられるのです。おかげで、私は習字自体は嫌いではないのですが、その挨拶が嫌で、塾に行くのが嫌で嫌でたまりませんでした。でも、今考えると、あの時の先生は、習字の勉強だけでなく、人としての生き方を教えてくれていたのだと思います。今はああいう礼儀作法に厳しい先生がいなくなりましたね。
東京都武蔵野市にお住まいのラジオネーム「テントウムシ」さん |