鄭忠一さんへ
二月になると、四十五年前に別れた初恋の人を思い出します。出会いは汽車の中。一人の青年が私に話しかけて来ました。話してみると妙に気が合い、いろいろな話に花を咲かせました。そして、名刺をいただき、びっくり。日本人だとばかり思っていた彼は、なんと北海道大学に在学中の韓国からの留学生だったのです。彼は、私に「手紙を下さい」とのこと。文通が始まったのです。彼は札幌、そして私は函館、文通しているうちに、お互いに恋心を抱くようになったのですが、出会いからわずか七カ月で、彼は突然帰国となってしまったのです。私の前に妖精のように現われ、風のように去っていった素敵だったあなたは、今どこでどうしているのでしょう?どうぞいつまでもお元気でいて下さい。
北海道函館市の工藤しげ子さん |